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ノーベル医学・生理学賞受賞者、利根川進


利根川進氏の功績

利根川進博士の功績は生物の抗体について未解明だった部分や生物の適応力について明らかにしたことです。細菌やウイルスの作り出す毒素(抗原)は莫大な種類があるのに対して生物はそれに対応した抗体を作り出せるのです。つまり、その莫大な抗体を作り出せるだけの何かが生物の体には備わっていると考えるのが自然です。しかし、多くの研究者がその機構について疑問を持ちつつ研究に挑んだものの有力な説明ができずにいました。利根川博士はその機構のカギが遺伝子(DNA)にあると仮説を立てて研究を行っていました。その仮説はこれまでの研究の中でも生物の免疫を説明する上で説得力があり、生物の多様な抗原抗体反応を説明しうるものでした。その説明を要約しますと、生物の体には莫大な数の抗体の設計図があるのではなく、DNAにあるたんぱく質の小さな設計図を組み合わせて莫大な数の大きな設計図を描いているというものです。つまり、生物は元々持っているDNAの情報を組み合わせて抗体に対して適応しているというものでありました。それまでにDNAの構造はある程度分かってきていましたが、実際に使われるDNAは一部であり、他の部分は使われないストックのようなDNAと考えられていました。しかし、使われないDNAの中には抗体を作るうえで設計図の一部として機能するDNAもあり、使われないと考えられていたDNAは設計図のパーツとして重要な役割を担うものであったのです。これらの生物の多様性や柔軟性、適応力に関する謎を解明した点がノーベル賞の功績として認められました。

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