大隅良典氏と言えば、オートファジー(自食品)についての研究で、2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞したことは記憶に新しいですね。
オートファジーとは、細胞が飢餓状態に陥った時、またはタンパク質を過剰合成した場合に、細胞が自身のタンパク質を食べる事により栄養源にするシステムの事です。
オートファジーは病原体や組織形成の異常に対処するための不要な細胞の自殺(プログラム細菌死)や、細胞のがん化の抑制としての働き、ハンチントン病などの疾患などにも関係していると言われており、オートファジーの仕組みについて解明する事は、がんやその他多くの病気を人類が克服していく事にも繋がります。
事実、大隈氏はこの研究の過程で、悪性腫瘍の特効薬を作り上げています。
オートファジーという働きが発見されたのは1963年。それから50年以上に渡って多くの研究者によって研究がなされて来ましたが、大隈氏は他の研究者達の論文や主張を引用・比較し、その正誤を立証すると共に、オートファジーに必要となる遺伝子の種類を突き止めました。
そしてオートファジーの仕組みが解明され、不治の病や治療が難しいとされていた病気の解明・治療への道筋が創られた事で、医療分野の革新的発展に期待が持たれているのです。