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ノーベル文学賞受賞者、大江健三郎


大江健三郎氏の功績

大江健三郎は、日本人史上2人目のノーベル文学賞を受賞した日本の小説家です。東京大学在学中に執筆した「飼育」により、当時最年少で芥川賞を受賞しました。サルトルの実存主義の影響を受けた作家として鮮烈なデビューを果たし、新世代の作家として注目されました。その後も、国家主義への恐怖、故郷の豊かな自然、知的障害者の長男との交流等といった自らの経験と、豊富な読書経験に基づく知識を換骨奪胎して織り込み、それらを多重的に組み合わせた味わい深い作品を数多く執筆し、人々を魅了しました。大江氏の主な代表作としては「個人的な体験」「万延元年のフットボール」が挙げられます。これらは、障害者の長男を持つ大江氏の、実体験をふまえて描かれているものですが、残酷で不安定ながらも、読む人の内面に迫り来るものがあります。
そして1994年、長年の文学的功績が認められ、大江氏はノーベル文学賞を受賞しました。受賞の背景には、「ヒロシマ・ノート」などの評論を執筆したり、平和主義者ならではの活動をしていたことに対する評価もあったと言われています。
大江氏は、戦後民主主義に立脚した思想を持ち、国家主義や天皇制には一貫して批判的な態度を取り続けています。また、戦争に強く反対し、自衛隊の存在にも否定的です。現在は、憲法9条の理念を守るための講演家としても活動しています。ノーベル文学賞受賞により、平和主義者としての大江氏の発言の影響力も大きくなったといえるでしょう。

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