小柴昌俊さんがノーベル物理学賞を受賞されたのは、2002年のことです。
「天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出にパイオニア的貢献をした」ことの功績に対しての受賞となりました。
小柴昌俊さんは超新星から放出され16万年もかかって地球に到達したニュートリノの観測や、
太陽の中心部から発生したニュートリノの観測にも成功しました。
観測に成功したのはいいのですが、一体この「ニュートリノ」とは何なのでしょう。
原子は陽子と中性子からなる核と電子から成ると学校で習ったことがある人も多いでしょう。
その核などよりも更に小さい素粒子の一つがニュートリノです。
ニュートリノは、私達の周りにもたくさんありますし宇宙空間にも充満しています。
あまりに小さいために私達が見ることはできません。
ニュートリノは電気を帯びませんので他の物質に吸い寄せられませんし、あまりに小さいのであらゆるものをすり抜けて通ります。
例えば私達の体にも、数えきれないほどのニュートリノが通り抜けているのです。
ニュートリノはパウリというオーストリアの学者が1930年に存在を予言していたのですが、
最初にニュートリノが観測されて存在が実証されたのは1956年のことでした。
ただしその発見は人工的に発生したニュートリノでしたので、自然界から発生したニュートリノの観測に成功したのは、
1987年の小柴昌俊さん達のカミオカンデグループが初めてとなります。
小柴昌俊さんの功績は多岐に渡ります。
岐阜県神岡にカミオカンデというニュートリノを観測するための装置を自分で設計、監督したり、
「ニュートリノ天文学」という分野を新しく切り開き、後進の育成もしました。
(愛弟子の梶田隆章さんもノーベル賞を受賞していますね)
小柴昌俊さんはまさに、「パイオニア的貢献」をされてノーベル賞を受賞されたのですね。