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ノーベル文学賞受賞者、川端康成


川端康成氏の功績

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の冒頭ではじまる「雪国」を代表作とする、川端康成は、日本人初のノーベル文学賞受賞者です。その受賞理由は「日本人の心の精髄を、すぐれた感受性をもって表現、世界の人々に深い感銘を与えたため」とのことでした。文学というのは、その表現手段としての言語に多くを負っており、川端の感覚的で美しく、非常に日本的である文章が世界的に高く評価されたという意味において、彼の受賞は日本の文学者に希望を与えるものであったでしょう。また他方において、彼のノーベル賞受賞は、海外の文学愛好家たちが川端の作品を読み、ひいては日本の文学作品自体に興味を持つ端緒となったことでしょう。川端は自身の作品が海外で高い評価を受けた理由として、かの作品「雪国」の英訳の翻訳者である、エドワード・ジョージ・サイデンステッカー氏による名訳が大きく貢献したとして、ノーベル賞の賞金もなんと半分もサイデンステッカー氏に渡したそうです。さらに、ノーベル賞は本人の生存が授賞の条件となっており、優れた日本の文学作品が世にでて、優れた翻訳により世界に紹介され、世界で高い評価を得て、ノーベル賞候補となるという、インターネットのなかった時代においては、多分に時間のかかる過程を経る必要がありました。そのため、日本の文学者としては安部公房や遠藤周作、三島由紀夫が受賞候補となりながらも故人であったので受賞を逃したとのうわさがあります。その意味においても川端のノーベル賞受賞というのは幸運な例でありました。

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