2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さん。「ソフトレーザーによる質量分析技術の開発」の功績が認められました。
彼が勤めていたのが島津製作所でした。田中さんは学部卒のサラリーマンということもあって、世間のお父さんたちの誇りとなりました。
彼の受賞は予想外で、マスコミも慌てて田中さんを走力取材。当時はマスコミが島津製作所に殺到していたと言います。
しかし、この意外な受賞のおかげで製作所は八億円の広告効果を得られたという試算もあります。
200円台だった株価も、受賞発表後の10月下旬には倍の400円台を突破したというから驚きです。
もともと島津製作所は基礎研究重視の会社でした。しかし、不況のあおりを受けて収益を重視する経営方針に傾きつつありました。
田中さんの受賞を受けて、島津製作所ではまた新しい分野の研究や、研究に対する報奨を設けたりなど、再び研究重視へと舵を切りました。
ノーベル賞の受賞は一企業の経営方針まで変えてしまいました。
ただ、これには田中さんのキャラクターが大きく影響していると言っても過言ではありません。
「ソフトレーザーによる質量分析技術の開発」を発明した時も報酬は一万円だったそうですが、それより研究の方が大事と言ったエピソードは多くの人を感動させました。これが島津製作所を有名にした一つの遠因と言えそうです。